正社員の4割以上が「静かな退職」をしている状態であると回答
近年、「静かな退職(quiet quitting)」という言葉が注目を集めています。これは、従業員が明確に退職の意思表示をすることなく、必要最低限の決められた業務のみを淡々とこなす状態を指します。
今回、全国の企業・個人を対象に実施された、マイナビキャリアリサーチLabの調査「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」の結果が公表されましたが、それによると、この静かな退職は決して無視できない規模で存在していることが明らかになりました。
【調査概要】
・調査時期:<個人調査>2024年11月15日~18日 <企業調査>2025年3月3日~6日
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:<個人調査>20~59歳の正社員男女 <企業調査>従業員数3名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、中途採用業務を担当している人のうち、前月採用活動を行った人、今後3カ月で採用活動を行う予定の人、直近3カ月に中途入社者がいた人
・有効回答数:<個人調査>3,000件 <企業>815件
(1)「静かな退職」をしている割合
14.5% そう思う
30.0% ややそう思う
32.9% あまりそう思わない
20.3% そう思わない
2.4% 答えたくない
…「静かな退職」をしているかとの問いに「そう思う」「ややそう思う」と回答した割合は44.5%に上りました。
(2)年代別の「静かな退職」割合
20代 46.7%
30代 41.6%
40代 44.3%
50代 45.6%
…「静かな退職」をしているかとの問いに「そう思う」と「やや思う」と回答した割合について、計年代別で最も多かったのは20代、次いで50代、そして40代の順となりました。どの年代でも4割を超え、幅広い年代に存在していることがわかりました。
(3)「静かな退職」で得られたもの
20.3% 休日や労働時間、自分の時間への満足感
13.3% 仕事量に対する給与額への満足感
12.7% 職場内の良好な人間関係
10.3% 仕事そのものへの満足感
9.6% 仕事の達成感
…「静かな退職」をしている人のうち、「静かな退職」で何等か「得られたものがある」と回答した割合は合計57.4%と約6割に上りました。具体的に得られたものについては、多い順で上記のようになっています。
(4)「静かな退職」を続けたい割合
29.7% 働いている間はずっと「静かな退職」を続けたい
22.7% できるだけ「静かな退職」を続けたい
18.0% どちらかといえば「静かな退職」を続けたい
14.9% 何かきっかけがあれば「静かな退職」はやめたい
6.2% 「静かな退職」をやめるために転職や異動などの準備をしている
8.4% そもそも「静かな退職」をしたいと思っていない
…「静かな退職」をしている人のうち、「静かな退職」を今後も続けたいと考えている人の合計は70.4%と7割を超えた一方で、続けたくないと回答した割合は、若年層になるほど高くなっており、年代で差があることもわかりました。
静かな退職は、目に見えにくい形で進行し、課題の所在の割り出しも簡単にはいかないことも考えられますが、調査によると、「静かな退職」を選択したきっかけは、もともとの価値観やコスパ重視の考え方に基づくパターンと、仕事環境や働く中で生まれた不満が原因となっているパターンが存在することが明らかになりました。
企業としては、多様化する個人の価値観と向き合う一方で、本来の意に反して「静かな退職」を選択するようなことが起こらないよう、背後にある従業員のサインを見逃さず、組織・制度の改革等の手を打っていくことが重要だと考えられます。
(本記事で紹介の調査について、より詳しい調査項目など、全体の調査結果や考察などは、参考リンク 正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績) | マイナビキャリアリサーチLab で読むことができます。)